新潟県佐渡市
天領盃

生産者の特徴、こだわり

■概要・特長
天領盃酒造のある「加茂歌代」という地名は以前、「加茂地区」と「歌代地区」に分かれており、天領盃酒造は歌代地区に属していました。歌代の地名は、順徳天皇が、島民が詠んだ詩を気にいると褒美として土地を与えたことに由来しています。

天領盃酒造は1983年に3つの酒蔵が合併し創業しました。創業当時は積極的に醸造機械を導入し、中小規模の酒蔵で初めてコンピューター管理も取り入れた酒造りを行って参りました。現在も最新の設備を毎年導入しており、年々酒質も酒蔵の中身も変化しています。省人化のための設備ではなく、「より高品質なお酒」を造るための設備を導入しているため、逆に新しい設備を入れたことにより人手がかかるようになることも珍しくありません。全ては「より良いお酒造り」のために天領盃酒造は変わり続けています。
現在も最新の機械を導入しております。それは機械で酒造りをするためではありません。私たち酒造りの大切なパートナーである微生物たちのためです。微生物にとって最良の環境を用意するための機械を導入しています。最高の酒造りの邪魔をする雑菌を極力排除するコンピューター制御となります。

自然の力、機械の力を借りながら、杜氏を筆頭に蔵人全員で酒造りを行う。職人の手、職人の目、職人の知恵と経験を織り成し、日本酒一本一本に熱い想いをこめています。あなたの生活をより豊かにするために、この天領盃が届くことを祈願いたします。


■こだわり・ストーリー
○天領盃と佐渡島
あまり知られていませんが、佐渡は沖縄に次いで日本で二番目に大きい離島です。東京23区の1.4倍ほどの大きさで、寒流と暖流が交わっています。
島の南では果物がよく育ち、青の洞窟もあり、南国の雰囲気です。その一方、北へいくと日本海の力強さを体感できる大自然が広がっています。同じ島の北と南でだいぶ異なる雰囲気を持ち合わせており、『日本の縮図』と称されます。また、歴史的に見ても数々の文化人が流刑されており、建築物、能楽、太鼓などの京文化が独特の発展を遂げています。
そして、朱鷺(トキ)。日本で唯一朱鷺が生息しているエリアで、世界農業遺産(GIAHS)や、農薬使用料を規定の半分以下とする「五割減減栽培」が慣習となっており、「朱鷺認証米」など独自の制度が行われています。

○天領盃こだわりの日本酒製法
・MJP洗米機
ジェット水流で洗い流すため手洗いなどでは取り除くことができない米糠や汚れまで落とし切ることができます。雑味の原因となる米糠をしっかりと落とすことで、出来上がる日本酒は透明感のある綺麗な味わいにすることができます。そのため天領盃では、すべてのお酒で10kgずつ小分けして洗米を行ない、その後シャワーの掛け流しにより、徹底的に米糠を落としています。

・圧搾機の冷蔵設備
より搾りたてに近いクリアな味わいの清酒を皆様に提供するため、日本酒を搾るヤブタと呼ばれる圧搾機を冷蔵設備の中に入れています。日本酒を圧搾する際に冷蔵状態を作り上げることにより日本酒の醪に含まれる微量の炭酸ガスをより多く閉じ込めたまま圧搾することができ、発酵由来の自然な炭酸を楽しんでいただくことができるようになります。(商品により炭酸ガスのないものもございます)

・サーマルタンク
低温で圧搾したお酒はすぐに-5度に設定されたタンクに移動し、2日以内の瓶詰めを行なっております。-5度で管理することで炭酸ガスが抜けにくくなり、香り成分も揮発しにくくなるため、できた絵の味わいをそのままお届けすることが可能になります。瓶詰めまでのたった2日という短い時間が、より良いものをお届けするための大きな分岐点になります。

・SFフィルター
ろ過装置。活性炭を使用せずに0.45μのフィルターを通すことでろ過しています。活性炭を使用すると、味、香り、色す全てが取れてしまうため、使いません。炭酸ガスを残留させるため、ろ過は最小限に抑えており、SFフィルターろ過一回のみです。
サーマルタンクから瓶詰めの間に酒をポンプで移動させるときに間に挟むことで濾過しながら瓶詰めすることで酒の移動回数も減らし、炭酸ガス、香り成分の揮発を防いでいます。

・瓶燗火入れ機
弊社の火入れ方法(加熱殺菌)は昔ながらの「瓶燗火入れ」という手法をとっています。
熱酒瓶詰めという手法(瓶に詰める前に加熱殺菌して高温の酒を瓶詰めする方法)が一般的で作業性もいいですが、瓶燗火入れ(生酒の状態で瓶詰め、打栓して瓶ごと加熱。)をすることにより、香りや炭酸ガスが残留しやすくなります。

・氷温冷蔵庫
瓶詰め後も最高の品質を維持するため、-5度の冷蔵庫に貯蔵しています。
そのためゆっくりと熟成が進み、まろやかな味わいになります。
上槽後から出荷直前まで-5度の管理を徹底しています。